ドキドキハラハラ「ヤマケイ文庫 ドキュメント 道迷い遭難」を読んだ感想
「道迷い遭難」を読んで
みなさま、登山の経験はおありでしょうか?
もしあって、少しでも怖い思いをした方なら、わかってもらえると思います。この恐怖感・・
最近読んだ本が、非常にリアルでしばらく緊張感のある余韻に支配されてドキドキしていました。
読んだのは小説ではなく、「ヤマケイ文庫 ドキュメント 道迷い遭難( 羽根田 治 著)2015/09/18」というドキュメント本です。
しかし、小説のようなスリリングな展開、そして潜在的な人間の心理、山で遭難した時の奇行・・
自分も容易に陥ることが想像できる心理状態が、読んでいてハラハラします。
あらすじ
山岳遭難のなかで最も多いのが「道迷い遭難」。
本書では実際に起きた「道迷い遭難」を取材し、遭難者の行動をつまびらかにして登山者への警鐘とする。
道に迷い、何日間も山中をさまよう恐怖―。
登山者の盲点でもある、誰もが陥りがちな道迷い遭難。
その7件の事例を取り上げ、原因を探り未然に防ぐ方策を検証する。(Amazonの本の紹介文より)
本の中では、実際に山で遭難し、無事生還した方々の話が描かれています。その方々が、その時何を考えて、実際に何が起きていたか、またどの時点で遭難したことを自覚したか、今振り返ってどう考えるか、といったことが事細かに書かれています。
なぜか悲壮な感じではないのが面白い。(面白いというと語弊があるけど・・)
みんな淡々とステップを踏んでいったに過ぎないけど、それが悪い方へ進んでいた、というだけ。
後から考えると、冷静さを失っていた事実に気づくことができるけど、あくまで本の中に出てくる登山者たちは割と楽観的で、強いのです。
でも実際には、相当危機的な状況にいるわけで、そう考えるとその楽観さが余計に怖い。
実際に命を落としている人はたくさんいますからね。
怖さのわけ
読んでいて何が怖いと思わされるのか、何が怖いのか、と考えてみると・・
多分、冷静になる前にどんどん進んで行き、怖い方、危険な方へ、知らず知らずのうちにどんどん自分を追い込んでいること。
何かを期待して、「きっと合ってる」、「きっとこの先に光が」、「違った、でもきっとこの先には..」と根拠なく進み続け、前進したい気持ちに駆られるままに進み、気づいた時には戻ることも不可能な状態になっているのです。
そして、滑落の危険があるのに滝を無理して降りてゆく。
引き返すことが近道だとはなかなか思えなくなるんですね。
怖いと思う理由、もう一つは、どんどん精神的に麻痺されていくという心理状態。怪我に対して寛容になっていく心理状態というのか・・
例になってないかもしれないけど、たとえば、はじめは「指のさかむけ」さえ痛くてうじうじしてるのに、一旦擦りむき傷ができると、さかむけくらい何個あっても良いわ、と、寛容になっていくようなその感覚。
はじめは傷一つ負わずに帰ることを考えていたはずなのに、気づけば、怪我くらいしても、生還できれば良い、と思っている。
10円1円をケチってたはずが、ふとした心の変化があると簡単に5000円支払うような、、割と空いてる電車では座席が一つ二つあいていても座りにくいのに、満員電車では我先にあいてる座席に飛びつくような(全然違う?笑)
例が下手で恐縮ですが、たがが外れるというのでしょうか。
冷静さを失うことが正気を失うことと繋がり、怖く感じてしまうのでしょうね。
まとめ
私も学生の頃に、みんなとはぐれて一瞬だけドキッとしたことがあります。
夫もカナダ滞在時、暇な日にグラウスマウンテンに一人で登ってみた時、ふと近道を探してみようと思って登山道を外れ、気づくと道はなく、誰もいなくなったそうです。幸い、木にリボンがくくりつけてあった方へ進んだら戻れたみたいですが、それも、本によると怪しい(リボンがいつも道標だとは限らない)ようです。
山を甘く見るなとは聞きますが、この本を読むまではあまりピンと来ませんでした。「迷ったら戻る」今後は口酸っぱく?伝えていきたいと思います。
幸いこの本の7件の方々は無事に生還を果たしましたが、遭難のニュースは頻繁に耳にします。
道迷い遭難を避けるための登山者の心得として読んで損はないかと思います!
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